2008年6月30日月曜日

ジューン・ブライド(下)

ダンスフロアー的エリアの前方に位置する2つの椅子。
天井からはミラーボール。
どうやらそこに新郎新婦が座る模様。
そしてその隣にはDJブース・・・。

会場に一歩足を踏み入れたときから終わりのないアルジェリアン音楽が流れ、結婚式だのお葬式、ハッジ(ムスリム男性がサウジアラビアのメッカに行くとこの称号がもらえる栄誉あること)を迎えるときにも使われ、ベリーダンスを促す?ためにも使われる、ヒャーララララララララという女性が舌を小刻みに動かして発する甲高い音が、合間合間でひっきりなしに続く。ちなみにこの音は、英語でUlulationと言い、アラビア語ではZaghareet(複数形。単数だとZaghroutah)。アラブ圏のそれぞれの国や土地によって響き方が異なるのです。

さてそのZaghareet、流している曲にあらかじめ入っているものでしょうか、出席している女性が生音で立てている音でしょうか?

と、1人でクイズ番組をやってみたりする(本当にどっちだか分からなく、答えも明かされることはなかった・・・)。

この結婚式、面白いのは特に開始の合図もなく、ダンスフロアーに繰り出して皆そろりそろりと踊り始めるところ。そしてここで登場するのがヒップスカーフ(ベリーダンスのレッスンなどに用いるコインがジャラジャラ付いた腰に巻くスカーフ)をつけた女性たち。彼女たち、もちろん結婚式に招待された一般客。そうか、ここでのヒップスカーフの使い道はこういうところにあるのね。・・・にしてもおばさん、エジプシャンウォーク上手だよ。

そして前方右手にあるDJブースからここぞとばかりに歌いだすおばさんDJ。が、流している曲って既に歌入ってんじゃん・・・。歌う意味が分からない・・・。

もうお気づきかもしれませんが、この結婚式は、そう。女性だけが出入りできるのです。

とまあ全体像が掴めたところで近づいてくるZaghareetの音。すると踊っていた出席者がまたそろりそろりと各自自分の席に戻り始める。これは花嫁が部屋に入ってくるという合図なのです。取り巻き(?)数人に付き添われ、会場をぐるっと一回り、まずはピンクのドレスに帽子をかぶせた出で立ちで花嫁の登場(ちなみに新郎はまだです)。歩く先にはそれぞれビデオカメラを抱えた女性が二人。後ろ歩きをしながら今日の主役をばっちり撮影中。

皆の祝福を受け、一周し終わった花嫁がDJブース横の椅子に着席すると、先ほどのカメラパーソン、花嫁に座り方の指示を出しながら、彼女の足元から撮影を始める。そう、ここで私が見た結婚式のビデオ、会場に入ったシーンでは、実はどれも何故か花嫁の足先から映し出されるのです・・・。

この後花嫁は何度となくお色直しを繰り返し、会場を出たり入ったりするのですが、結果から先に言うと、なんとお色直しの数、8回。日本で結婚式に出席したことがない私は、一般的な結婚式で大体何回お色直しをするのか分からないけれど、まあ着る方楽しく、見るほう楽しくやるのが趣旨なのでしょう。一生に一度のものだから(と、皆思うもの)。そして忘れてはならないのが出席客にもお色直しをする人がいるということ。もちろん皆ではないけれど、お洒落に気を使っているのか、お金があるのか、もしくはただ単に見せびらかしたいのか・・・。とはいえ日本でこんな人いないでしょう。おいおい、主役はあくまで花嫁です、花嫁。今回もいました何人か(ビデオでも)。

こっちでの結婚式に付きものなのが、アルジェリアの手作りお菓子を提供すること。会場で働く人たちがトレーにこれでもかと言うほど甘いスイーツをいっぱい載せてそれぞれのテーブルを回ってくる。今回は引き出物たるハート型の赤のお皿が前もって配られていたので、それにそれぞれ回ってくるお菓子を溜め込むことに。砂糖いっぱいのこのおやつ、新婚さんの甘い生活にあやかろうと言うものなのかと思いたいが、こっちのスイーツは全部過剰に甘い・・・。


そんな時会場に入ってきた女性何人かと、何人かの男性陣。ここは男子禁制!と思っていた矢先の出来事。意味が分からなくその一部始終を眺めていて分かったことは、彼らは花嫁の家族だと言うこと。そして一幕一緒に踊ったり写真を撮ったりした後に出て行きました。

それにしてもこっちの結婚式、皆好き放題している印象を受けますが、これって国民性?

さて、お色直しも中盤に差し掛かった頃、さっきから花嫁並みに出たり入ったりしているメリナ(今回の花嫁の友達で私を結婚式に連れてきてくれた子)が私に話しかける。衣装を持って一緒に降りましょう、と。連れられた先は花嫁とその女性の家族が着替える更衣室。いいのかな?っていうかメリナ、私が踊ることは了承を取ってあるんでしょうね。一応了承は取ってあるらしく快く?向かい入れられましたがそのステージ裏は戦場と化していた・・・。

花嫁の次の登場後に踊ることを何となく察し(ここではほぼ全てを察しながら生きています)、会場のドアの外で待機。今日のために用意した聞こえてくる音楽を意識しながら全体の流れをイメージする。センタースペースでエントランスのベールワークを終えたらテーブルを踊り練り歩こう。・・・と思っていた私のプランは次の瞬間ことごとく壊される。開け放ったドアからベールを翻し登場した私を見た瞬間会場にいた全ての女性が歓声とともにセンタースペースを取り囲むように押し寄ってきたから。

床がつるっつるで滑りそうになるヒールをコントロールしながらスペースいっぱいに踊る。もちろん花嫁に対して誠意を持って。めでたい席で場を盛り上げるのはベリーダンサーの宿命だから。そんな中こっちに行って踊ったらこっちの人だかりがキャーキャー、あっち側に行って踊ったらあっちの人だかりがキャーキャー。私の踊りを観て鳥肌が立ったと言ってくれる人はたまにいるけれど、踊りながら自分で鳥肌が立ったのは、初めての経験。一瞬寒くなって(ただ単に風邪?)、自分、踊りきれるかな、なんて心配したけれどもちろんそれも一瞬の出来事。その時を肌で感じながら自分の仕事と境遇、出会いに改めて感謝。

ただ1つ文句を言えと言われたら(誰も言わない?)、DJがところどころ何かをしゃべりたいらしくその中途半端な間音楽を消すところ。それが何回も。DJちゃんとDJらしく仕事しろ!全く。

さてこの踊りの後その場は写真撮影の場と化してしまい、結局着替えるために会場を出られたのは30分後。

いくつも撮られた写真のうちの1つ。これも小さい女の子たち。
子供からお年寄りまで、幅広い年齢層の人たちにモテモテの私。
でも、忘れてはならないのが、これ、全部女性ですから・・・。

その後3,4回のお色直しで再登場する花嫁。


このネイビーブルーに刺繍が施してある装いはアルジェリアの伝統的なドレス。実はこのドレス、一番下のスカートの部分が前後縫い合わされているのです。ということはスカートなのかパンツなのかよく分からなく、はっきりしようよ、と思ったりもするのですがよそ者の私が言うことではない。そしてトイレに行くときはどうするんだろう、といらぬ心配をしてみる。


こちらは花嫁とメリナ。このドレスも素敵でした。

そして少し心配になってくる私。
一体新郎はいつ姿を現すつもりなのか。
メリナのお姉さんでシェラトンに勤めるマディナが教えてくれる。新郎は最後の花嫁衣裳の時に来るみたいよ、と。そして花嫁の最後の登場。お父さんとお母さんに連れられてやってくる純白のウェディングドレスの花嫁。


同じように会場を一周、皆に自分の姿を認識させ着席。そして踊りだす女性たち。
20分、30分・・・ねえ、花婿は?
・・・
教えてくれるマディナ。
なんか今日は来ないことになったみたい。
ってそれでいいんか!!!!!!!!!!!!!!!!!!
結局花婿の姿を一目も見ることなく会場を後にした私たち。
アルジェリア、恐るべし。
さてその後なのですが、そのまま帰るのかと思いきや、皆ぞろぞろと上の階へ上がっていく。そこに用意されていたのはテーブルをいくつも並べた二手に分かれたお部屋。今日の招待客用に食事が用意されていたのです。そしてもっと驚いたのは、さっきまで肩が露出したドレスを着て踊り狂ってた女性たち、気が付くと皆アバヤをまとい(もちろん皆ではありません。ドレス姿のそのままの人もいましたが)仕切る目的で置かれたつい立のこちら側にやってくる。ああ、ここはイスラム教徒のお国なのだな、と改めて実感。色々貴重な経験をさせてもらっていることにまたもや感謝。
そして帰り際。私最初に思ったのよね。ここでの駐車、車を詰めて停めるとしたら、外側の車にブロックされて身動き取れないなんて事、ないよね、と。・・・まさしくマーフィーの法則。
仕事のある私は、ある時間までにホテルに戻っていないといけないことはマディナもメリナもお母さんも皆承知のこと。ぎりぎりの時間帯まで結婚式場にいた私たちに起こったとんだハプニング。外側に停まっている車の持ち主が誰だか分からない。時間に焦るがため、家族3人、みんなで喧嘩口調、一日中花嫁の世話をしたりで歩きっぱなしだったメリナは長時間履いていたヒールの痛い足を引きずり会場に戻って車の持ち主を探す。そして押してくる時間。
立場的には私が一番焦るべきだけれど、焦っても何も変わるわけではない。うーん、これは困るんだけど多分大丈夫でしょう、インシャッラー。ってあんたが一番アルジェリア人・・・。
幸い車の持ち主が見つかり、高速をかっ飛ばすスピード狂のメリナ。ぎりぎりの時間だけれどホテルのエントランス横に車をつけたのは、私が注文した一番遅くても大丈夫な時間2分前。得意気に笑いながら言うメリナ、これでOKでしょ?そうそうそれそれ、こういうスリリングなことは止められない(笑)。

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