2008年12月11日木曜日

瞬きしてる間に

昨晩、以下のことが起きた。

毎晩踊る2セット中、1セット目が踊り終わり、控え室から出口に向かう途中、化粧室から出てきた女性と出会う。

特に知り合いでもないのだけれど、彼女の当たり前のそぶりと勢いにつられ、とりあえず挨拶を交わし、両頬にキスを1度ずつ交わす。

その後、「あなたの名前は?」と聞かれる。

「私はマリコ」

そして今度は私が、「(じゃあ)あなたは?」とも聞く。

彼女が名乗る。

彼女がポケットに手を伸ばし、携帯電話を取り出す。

なんだ、女性も電話番号を聞いてくるのかい、と思ったら、彼女がカメラ機能付きの電話を持つ手を遠く伸ばして、自分に向け、写真を撮る姿勢になる。

よく分からないが、カメラの方を見つつ顔を合わせて笑顔を保つ。

シャッターを切り終わった後、カメラ付きのその電話で画像を確認。

彼女、「Tu es jolie(あなたきれいね)」

「Toi aussi(あなたもきれいね)」

・・・と言える前に彼女はもう消えていた。

フランス語は自分で理解するまでにちょっと時差があるのだけど。

この一連の出来事、瞬きしてる間に起きた。

やっぱりアルジェリア、おかしな国だと思う・・・。

2008年12月8日月曜日

ライードのとーらい

ライード=L'aid

正式名称はEid ul Adha。

犠牲祭と訳されるイスラム教の祝日が、今年のアルジェリアでは12月8日と9日に定められた。

さて、でも何故宗教的な大事な祝日が、今年はいついつに・・・という風に定められなければいけないのか。最近は日本の祝日も便宜を図るため、1月の第2月曜日などという風に設定される場合もあるけれど(だとしてもいつが休みになるかは前もって分かるし今後だって分かるよね)、主要な祝日はやはり2月11日は建国記念の日、のように月日が設定されているもの。

というのもイスラム教社会は、ヒジュラ暦と呼ばれる太陰暦(純粋太陰暦)を使用しているため、1ヶ月が29日間の小の月と、1ヶ月が30日の大の月を交互に繰り返した方法で1年を数え、地球が太陽を回る周期との修正を行なわない結果(閏月による地球が太陽を回る周期、すなわち季節との補正を行わない)、1年間が354日となり、1年ごとに11日ほど太陰暦とずれていくから。

(Wikipedia参照)

イスラム教の国は世界中たくさんあるけれど、この宗教的行事では、どこの国でも何らかの動物を犠牲にし、預言者ムハンマド(モハメド)と共に五大預言者のうちの1人のアブラハム(イブラハム)が進んで息子のイシュマエルをアッラー(イスラム教の神)に犠牲として捧げたことを世界的に記念する。

例えばパキスタンではこの犠牲の対象となるのは山羊。
アルジェリアではこの対象は羊となる。

さてここアルジェリア、日頃から道端を羊飼いと羊の群れが普通に歩いているし、外出の際、車窓からちょっとした草原をチラッと見やると羊が懸命に草をほおばっていたりもする。

そしてライード到来数日前、外出した折に気付いたこと数点。日頃はまばらに見る羊たちと羊飼い、この日ばかりは主要道路沿いに皆(羊もか?)でたむろってる。要するに、人々が一家に一頭、羊を買って帰っていく。ある人は、羊の首にロープをかけて歩いて帰る人、またある人はセダン車に乗せて帰る人。

そう、連れて帰られる羊は、ライードの初日まで各家庭で育てられ、ライード当日、喉を切られてとさつされる(やっぱり内心かわいそう、と思ってしまう・・・)。そう、アッラーに捧げる生贄になるために。自然の恵みや動物のおかげで成り立っている人々の食生活(ベジタリアンはちょっと違うかもしれないけれど)、偽善者ぶるつもりはないけれど、この行事に招待されなかったことに、我胸撫で下ろす。ライードのこの一番の行事、これにまつわる話は山とある。

例えば、とさつを実行するのは通常家族の父親と長男だったりするのだけれど、場合によってはその仕事をする人を雇ったりもする。そしてその行為を実行する人たちは、やむを得ぬ事情がある場合意外(職業がレストランのシェフだったり)、皆、爪、ひげ、髪の毛を最低事前10日間は切ってはいけないという。貧しい人にも食べ物を分け与えてあげるというイスラムの教えから、その羊から得られるご馳走である肉の3分の1は家族で頂き、残りの3分の2は、彼らに近い貧しい人から優先的に分け与えてあげる。自分が食する分よりも多くを、恵まれない他人に分け与える。

そしてこの羊、一頭、大きさによって25,000ディナールから35,000ディナール(大体35,000円~60,000円前後)で売買されるそうで、これはローカルの平均的収入の1ヶ月分から2ヶ月。かなり贅沢なもの。ちなみにフランス語のおじさん先生は、「羊は高いから買えないよ~」なんて言ってたなと思い出す。となると彼はお肉をもらう側なのだろう、と。

この他にも内臓は当日、でもお肉自体を食するのは血抜きをした翌日、要するにライード2日目、とさつを行なう時間帯など、事細かに決め事があるよう。

どっちかというと、このライード、どこのスーパーでも正月三が日はお店を閉めていた一昔前の日本のお正月みたいなものにさえ感じる。国を挙げてのお祝い(?)事、当日お店は例外なく、ほぼ全てが閉まっていて、外には人っ子一人見当たらない。今年は家で餅つきするの?いや、手間隙かかるからやらないよ~、なんて餅つきと羊の生贄の行事とを重ね合わせてみたりもする。

ライードおめでとう、「サッハアイデック」と声を掛け、一足早く、小声で、いや、普通の声の大きさで、明けましておめでとう!と言ってみる。

2008年12月2日火曜日

ショートヘアにしたい衝動に駆られたそんな日

最近、私は忙しい。


週に2度、先に言ったフランス語の教室に通い、強制的に踊らされるトロピカルダンスの練習に励み、空いた時間には衣装を探しに日中街へ遠出したり・・・。

そんな中、忙しいから長い髪を乾かすのが面倒でショートヘアにしたい衝動に駆られた。。。

という訳ではない。

これは、ショートヘアの、ある女の子のお話。

彼女の名は、セリナ。
半分ベルギー人の、アルジェリア人。

出会ったきっかけは、例のトロピカルダンス。
そして歌手のこの彼女、実は今回一番活躍した人物。

それもそのはず、彼女、実は過去5年間モロッコでダンサー兼歌手を仕事にしていたそう。フラメンコやバレエ、ジャズダンスやラテンダンス、一般的に知られているダンスは多少なりともおさえているけれど、私にはあまり馴染みがなかったセガダンスやズーク、ラガやレゲエ、アフリカンダンスだって、ダンス一般全てをおさえていてそれはそれは頼もしい。

始めは彼女、ちょっと踊れるな、なんて思っていたのだけれど、ちょっとなんてとんでもない。パターン化せずに、見ていて楽しいダンスをするではないですか。元気でクレイジーで、なんと言っても彼女自身がエンターテイメント。私にとっては、色々参考にもなるエンターテイメント。

些細な要素がトラブルに発展してしまうケースがあまりにもありすぎるこの世界、私もあまり不必要な関わりを持たないように活動していた手前、彼女だけはもっと早くに知っておきたかったと思う今日この頃。というのも彼女、夏の間も1001Nuitsで歌っていたらしく(私も週末はそこで踊りますけれど、終わったらその場をとっとと去ってるので)、今回の彼女のカムバックは、お客さんの要請から実現したという、実力派。

歌唱力も抜群で、見ていると元気を分けてもらえる、そんなセリナ。
たまにおかしな声を出すけれど(笑)、それもまた、エンターテイメントなのだから。

そう、そして最近私は忙しい。
彼女とブルガリア人のバンドの演奏を観に、聴きに、毎晩のように1001Nuitsに入り浸ってしまっているが故。吸収できるときは寸暇を惜しんでその環境に入り込むのが、いつからか私のやり方。

そしてショートヘアのその彼女を見て、こう思う。

ショートヘアも悪くないな、と。