2008年7月25日金曜日

一日2時間

海外駐在員としてホテルで働いている一人のヨシュ(仮名)は、私の良き友達でもある。
ユーモアセンスたっぷりの彼は、クウェート、カタール、ドバイなど、中近東でもう何年も働いているexpat。

先日、そのヨシュを見かけたのでニコニコ顔で話しかけた。

もう仕事終わったの?

この質問がいけなかった。時、既に午後7時。

もう終わったの?

そういう意味で使った「もう」ではないのだけれど、ちょっとだけムッとした表情を見せた彼。その日は機嫌が悪かったのでしょう、そう問いかけた私にこう返答する。

朝7時から夜7時までだ。十分だろう?

と。

そしてこう付け足しながら。

君みたいに一日2時間で済むわけじゃないんだから。

そう言った彼も悪いと思ったのか、その場を取り繕うようにはしてくれたのだけれど・・・。

確かに私の仕事は一日のうちほんの数時間。そんなに高額ではないけれど、それなのにそれなりのお金をもらっていて、遠慮深い私は長時間労働している人や現地の人に対してちょっと申し訳なく思ったりもする。

好きで選んだ職業ではある。趣味が高じて仕事になり、仕事が私の糧となる。なくてはならないこの糧が、私の人生そのものとなる。

でもね、知っておいてもらいたいのは、表には出さないけれど、これはこれでとてつもないプレッシャーでもあるんだよ。良いフィードバックも受けるけど、受ける批評は全て自分自身で消化しなければいけないの。パフォーマンスは始まりから終わりまで一日数時間の世界がゆえに、それに要する準備の全てにおいても、注ぎ込まれるエネルギーも、日中の人とのやり取りも、全てその日のパフォーマンスに関係してしまう要素を持っているからこそ気も遣う。もちろん全てを切り離して機械のように個々に扱えればそれは最適だと考える。努力はすれど人間だからそれは無理な話。私の仕事は踊るだけではいけないし、それ以上のものも要求され残すべきもの。

フリーの時間が多いのは事実だけれど、一日のうち本当に一息つけるのは仕事が終わってからその夜寝るまでの間。

だから夜寝るのが遅くなる。

文句を言っているわけではないし、情熱を糧に出来ている自分の境遇に、むしろ計り知れない感謝はしている。

でも、ちょっとだけ愚痴をこぼしてみたかったそんな日。

2008年7月20日日曜日

不可解なこと その2

さてこちらはアルジェリアの交通事情。

ここでは信号をあまり見かけない。仮にあったとしても、その信号機はファンクションしているにも関わらず、かなりマニュアルチックなやり方で交通ポリスが交通整理をしている。

そしてここでよく見かけるのがロータリー。

ラウンドアバウトと呼ばれる環状交差路(いわゆるロータリー)がたくさんあるオーストラリアで免許を取得した私にとって、ロータリーとはそれはそれは理に適った交通システムだと思っている。

通常、ロータリーは、交差点での交通を促すために信号機ではなく環境にやさしいからか経費のためなのかは分からないけど設けられた優れもの。ロータリーに後から入る車は、ロータリー内の空きを見計らってその中に入り、既にロータリーの中に入って動いている車の行動が優先されと思われる・・・いや、思われるのではなく、優先される。これ、通常のロータリー。

例えば、アルジェリアでは左ハンドルに右側通行。ロータリーも反時計回りとなり、ロータリーでは先にロータリー内を走っている車の行動が最優先という世界共通の常識があてがわれると思うのだけれど、この当たり前的な考え、ここではこれが大きな間違い。

というのが、どの人に聞いても、どうやらここではその反対のルールがあてがわれているようだから。今からロータリーに入ってくる車が最優先と・・・。となると、先にロータリーをクルクル回っていた車は、流れを停めてまで今から入ってくる車に道を譲る。するとロータリーに入っていた他の車も停まらざるを得ない。

・・・結果、とてもややこしい交通渋滞が起こるじゃないか!

でも誰もがその認識を持って運転しているのであれば、今更それを変えることも難しいのだろうか。なので、誰かが運転する車に乗っている時に私はこう思う。入るほうが先、と。

でもそう思って車に乗っていてもとんでもないシチュエーションに多々出くわす。ロータリーに差し掛かっていざ入ろうとすれば高速でやってくる既にロータリー内にいる車(要するに優先されない・・)。既に入っているロータリー内から今からロータリーに入ろうとする車を入れてあげようとしても入らない車(どうしても停まることになってしまえば後ろから煽られることも)。

ルールがあってもないのがアルジェリア。よく分からないけどとりあえず事故を起こさないように注意するのが一番というところに及ぶ考え。
アルジェリア、要するに何でも臨機応変にって事でしょう。

2008年7月17日木曜日

不可解なこと その1

先日愛を告白してくれた真っ黒に日焼けした9歳のノーラ、ここの所ずっと彼女が1人で朝食をとっているところを見かける。私を見かけると必ず挨拶しに来てくれるとっても可愛い子。

お母さんは?おばさんは?妹は?

と、聞きたくても上手く聞けない、そんな私(別に恥ずかしいわけじゃないんです。言葉が出来ないだけ・・・フランス語は未だに難しい)。

ノーラは毎朝、手がやっと届くか届かないかの位置のコーンフレークを自分の器によそっている。

ここで色々憶測を立ててみる。

お母さんは低血圧。だから朝は起きられない。

妹はお母さんと一緒。だから朝ごはんには来ない。

おばさんは、いつも一緒にいるわけではない。

そういうことか、と自分の立てた憶測が実に道理にかなっているものなのではないかと思ってみる。

が、しかし、昼間見かけるノーラもやっぱり一人。プールで遊ぶノーラも、また、一人。

レストランの人たちもそんなノーラとはもちろん顔見知り。一人で朝食を済ませ、領収書にするサインもお手の物。

一週間を越えたそんな観察の日々、ある日ノーラがお母さんと妹と3人でいるところを見かけたので聞いてみた。

よくノーラを一人で見かけるんだけど・・・と。

するとお母さんだと思っていた人物、実はノーラのお姉さんだと言うことが判明。要するに妹だと思っていた3歳のルブナ(以前書いた彼女の名前はやっぱり間違いでした)はノーラにとっては姪っこ。そしておばさんだと思った人は、ここのホテルにオフィスを構えて働いているノーラのまた別のお姉さん、だということも判明。ちなみによく大勢で食事をしに来るときの女性陣もほぼ姉妹同士だとか。ファミリービジネス?

ようやく解けた謎。だってここに何泊もするのって半端なく高いよ・・・。ホテルの勝手を分かっているノーラの行動にも納得。

これは勝手な憶測だけれど、年の離れたノーラのお姉さんたちがノーラの面倒を見ているところを見る限り、ご両親はお年を召していてノーラの面倒を見てあげられないのかな・・・。

2008年7月15日火曜日

意味不明な時は・・・

アルジェリアの代表的な特産物の1つに、デーツが挙げられる。

デーツとは、棗(ナツメ)。味として表現するなれば、どちらかというともっちりしたこしあんのようなもの。ねっとりして、重みのある、甘い果実。

私が食事をするレストランではアラカルトも頼めるのだけれど、ご飯はもっぱら日替わりビュッフェ。レストラン中央にはメインディッシュが並んだテーブル、デザートやサラダもそれぞれのテーブルを占め、果物も置いてある。先日お昼を食べていると、おなかの出っ張った見知らぬおじさんが1人で座っている私を見かけて声を掛けた。

お昼が終わったら何してるの?

と、言っていると思う。

でもここは分からぬふりをするのが賢明だと直感する私。

ごめんなさい、何を言ってるのか分からないの。

いやいや、だからあなたのお昼後の予定は?

・・・と、言っていると思われる。

どうせ何もないんでしょ。ちょっと付き合ってよ。

・・・失礼な奴だな、と思いつつ、上のようなことを言っているのは確かだな、と思う。

さて、ここで曖昧な返事をすると後で厄介なことになるのは目に見える。この手の人は相手の対応が甘いのを見透かしてどんどんつけこんでくる。

「分からないから」(諦めてくれ。と心の中で続く叫び)、と言っているにも関わらず身を乗り出して座っている私に立っているポジションからテーブルにビュッフェから取ってきた何かを載せたお皿を置き、両手を付き、そして私を見下ろしてずっと誘い続けるおじさん。こういう圧力をかける形で話をする人は大嫌い。

やーめーてーくーれー。と心の中で声を大にしての叫び。

ほんっとうにしつこい。

私だって失礼な対応はしたくないけれど、ここまで威圧的な姿勢の人には大変申し訳ないけれど最終手段を使うしか他ない。

私が分からないのをいいことに、どうにかして私からyesという返答にこじつけようと、どんどん早口で続けるおじさん。

ここまできたらもう「あなたの言ってることは意味不明」態度を押し通すしかないのである。

両手のひらをおじさんの方に向け、しかめっ面で首を振り続けること約10秒。長かった・・・が、やっと分かってくれた。もちろん最後ににっこり笑ってごめんね、と言うことは忘れずに。

そして去っていくおじさんが手にしたそのお皿には、山のようにデーツが乗っていた。

後でビュッフェの果物が置いてあるテーブルに行って分かった事。普段大量においてあるデーツ皿が半分空になっていた。

だからおなかがはち切れるほど出ちゃうんだよ。

2008年7月10日木曜日

そろそろ

アルジェリアで踊り始めてそろそろ6ヶ月。
ちと遅いですが、そろそろ問題浮上。

最近、ごくたまにではあるけれど、意思疎通が出来ずにイライラすることが。
というのも、皆フランス語は話すけれど、英語をまともに理解できる人がいない!
インターナショナルランゲージは英語だよ、え・い・ご!と叫びたくなる今日この頃。

ここ一応名の知れたホテルでしょ?

さて先日、私が食事をするレストランのウエイターの一人、ザメルが私に聞いた。

プールで泳がないの?

プールより海に時々入ってるよ、と私。

でも明日バッセマ(女性の名前です)とカリマ(こちらも女性の名前)と外の海に行くかも。

するとザメル、何故君はいつも女性と出かける?何故男性と出かけない?と。

何故男性と出かけない?って言われても・・・。

でもこれはアルジェリアでの男女間の友達関係の考えについて探るにはちょうどいい話題。と思い、そこからそのことに関して質問してみる私。

でもさ、女の子が男の子の友達と出かけたら男性は自動的に脈があると思うんでしょ?(アラブでは基本的にそういう厄介なことが普通にある・・・)その辺りのメンタリティーを知りたいんだけど。

けどザメル、私の質問には耳もくれず(もしくは全然理解されていない)しきりに何故外出は女性とだけなんだ?と繰り返す。

だから人の話を聞けい!!!!!

私が踊るレストランでのこと。よく踊るとき以外にも顔を見せにレストランに出入りする私。そこで働く誰か一人と話をしていると必ず、他の人と話をしていることが気付かないわけじゃないだろうに、私が振り向くまで「マリコ、マリコ、マリコ、マリコ、マリコ」と呼ぶ不届き者が。(注・ 6回マリコと呼ぶわけではなく、要するに私が振り向くまで100回でもマリコ、マリコ、マリコ、と続ける・・・)しかもそういう人が何人もいる。

君たちは先生の注目を浴びたい幼稚園児か?

人が他の人と話してるんだからそれが終わってから呼べ!

しかも私の注目を独り占め出来たと悟るとそこからフランス語だかアラビア語だかもしくは両者をミックスしたアルジェリアン言語で超高速球で私に話しかける。

分からん!何故だ?何故私に話しかける?分からないのを前提に。そこまでアテンションを求めて通じないことを何故言いたい???

先日はひどい目に。ショーの本番中、ベールを使ってクルクル回っている私を停めて話しかける不届き者ウエイター、ハミンが!しかも英語では伝えきれず、ぐちゃぐちゃと訳の分からぬ英語とフランス語ミックスの言葉で、私には理解しようもないことを伝えようとしている。後で知ってことだけれど、あるテーブルには行くな、というおふれが出ているからそのテーブルには踊りに行くなと言ったとの事。(アルジェリアでもレバノンでもそうですが、行ってはいけないテーブルは前もってウエイターなりレストランの責任者が教えてくれます。その理由は色々で、テーブルにものすごく敬虔なムスリムがいる、または一緒に来ている旦那にベリーダンサーなんか見せたくない、というご婦人がいる、等)

大体ね、踊ってる人を止めてまで言うことじゃないでしょ?曲と曲の間に捕まえて言ってよ。何で気が付かないかな。もうちょっと考えろ!って言うものの、違う、自分じゃない、と言い訳するハミン。何が自分じゃないんだ、私を止めたのは紛れもなくその自分じゃないか。

それでもいつもアラビアンポップスを歌って女性歌手の物まねをするそのウエイターのハミンは、何故か憎めない・・・。

注・登場人物の名前は全て仮名です。

2008年7月3日木曜日

新しい職場での実態

レストランがプールサイドのテラスに移動したと言うことは、私に「新しい」職場が提供されたと言うこと。

以下、私が面するシチュエーション。


地面が石畳のタイル張りで凹凸がある故、ヒールを履いて踊る私にとってはとても踊りずらいこと。←これ、ある意味訓練の一貫と考えれば一石二鳥?

そろそろ暑くなってきたこと。←バカンスにはいいけど。


海に極力近いからか、湿気が多く、大量に汗をかくこと。←踊り終わるといつもシャワーでも浴びたように汗をかいている。これ、ほんとに笑えない。

風がある日はベールを使うエントランスピースを踊りながら自然の力には勝てないなと思うこと。←そんな場合は無理にベールは使わぬべし。

いつからか2セット目のエントランスは、急遽バンドの演奏する曲で踊ることになったのだけれど、バンドの人たちが演奏する曲が毎回同じ曲だということ。そろそろ3週間、今週もまた、同じ曲・・・。もっとレパートリー増やそうよと思うこと。←こっちの人はいつまでも同じ音楽を繰り返し聴いて喜ぶのは確かだけど。

以上。