2008年5月16日金曜日

別れ

別れは、突然やってくる・・・ものもあれば、前もって分かってるお別れもある。

ここで言う週の始まりは、土曜日。ウィークエンドとは、水曜日の夜辺りから始まり、木曜日と金曜日をさし、一般的に言う休日は金曜日。というのは、ある意味アルジェリアは本物(?)イスラム教徒の国だから。もちろん一週間のうち金曜日が休日のイスラム教国は他にもたくさんありますけれど(というより本来イスラム教国なら金曜日がおやすみのところの方が多いでしょうが)。

例えば、イスラム教が国教のアラブ首長国連邦では、休日は諸外国とのビジネスのやり取り上都合の良い日曜日。トルコもイスラム教徒が多数を占めるイスラム教国であっても一週間のうちの休日は日曜日。インドネシアだってイスラム教国でもおやすみは日曜日。

ということで、毎晩私が踊るこのシェラトンホテル内にある、アルジェリア料理のレストランとは他に、週末(水曜日と木曜日-これを説明したかった)踊る1001 Nuitsというナイトクラブがあるのです。そこは、ダンスとは関係なく毎晩バンドが生演奏をしているのですが・・・。

このバンド、ブルガリア人の男女4人で結成されているのですが、写真に見ると一見稀ないでたちをしていてそれなりに存在感のある人たち。主によく知られているカバー曲を演奏する彼ら、私がシェラトンで踊り始めるとほぼ同時期にアルジェリア入りしたのですが、実はこのバンド、演奏は素晴らしいのだけれど、ボーカルがあまり上手くなく・・・遠くから聞こえる歌声に、あれ?今日は素人をステージに上げてカラオケ大会でもしてるのか?と思ったこともあったほど。けれどもエンターテイメントを求めて集まってくる観客を、今までそれなりに盛り上げていたのかも。

小さくて見えませんが、左側、彼らです。

週末の私の仕事形態の日課としては、レストランで踊る2セットが終わると、一度部屋に戻り、衣装を換えてすぐに1001 Nuitsに移動。裏口から入り、バーの裏の控え室で待機するところ、今日もいつものようにその部屋に入った私の目にはいつもその時間ステージで演奏をしているであろうバンドのメンバーが一人。

ん?どうしたの?

今夜旅立つんだ。

えーーーー!?明日かと思った(って私の勘違いもどうかと思いますが、それ以前に1週間が終わる前に契約が終わるっていうところがよく分かりません)。

そんな彼らが今晩旅立つ。

これから君の踊りを見て空港に向かうよ、と。

そうなんだ。

自分の出番が終わり、再び控え室に戻る私の後を追ってやってきたそのメンバー、どうやら目を真っ赤にしている。お別れの挨拶をして、その場を後にするそのメンバー。

そのタイミングで部屋に入ってきたスタッフの子も目を真っ赤にしている(ちなみに私は泣いちゃませんが・・)。彼らが抱擁し合い、最後になるであろうお別れの挨拶を交わしているのを見てる間に、なんだかやっぱり寂しくなってしまいました。やっぱりどんなに短くても、毎日一緒に働いている人たちが明日から急にいなくなってしまうとなればやっぱりもの悲しいもの。

去っていったメンバーと、目を赤くしたまま、せわしなく次の用事を済ませてまた出て行ったスタッフの背中が消えたその部屋で、呆然と立ち尽くす私。

次に入ってきたスタッフに、やっぱり寂しくなるね、と声を掛ける。

そのスタッフ、今度は That's life. と小さく微笑んで、そんな言葉を発する。

1001 Nuitsからのいつもの帰り道、ガラス張りの窓越しに雨で少し濡れた地面に目をやりながら、ちょっと悲しくなった、そんな夜でした。

これ、まだ泣いてないそのメンバー。ちなみに彼だけは帰国後すぐ次の契約先のロンドンに向かうそう。

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