私は現在アルジェリアにいるわけですが、この同じホテルで、偶然にも何故か1週間ほどほぼ毎日連続してレバノン人に会う機会に遭遇。しかも皆お互い何のつながりもない人たち。
いつものように、プールサイドのレストランで踊っていると、アルジェリアンチックとは違うセンスの良い格好をした男性陣7,8人、テーブルを囲んでいる。
よく見ると彼ら、体格もいいしノリもいい(顔もいいけど)。アラビック手拍子だって心得てる。
どっから来たの?と聞きつつも、もしかしてレバノン人?とも聞いてみる。
思いの通りの回答に、やっぱり!と思う自分。
このホテルは、各国からそれぞれビジネス関係で来る人が多いのだけど、その次の日も、また次の日も見かけたイケメンリーダー率いる(勝手に総称)レバノン人グループの彼ら。
レバノン人と分かると話さずにはいられない私。特にこれといった会話ではないのだけど(笑)、踊りながら多少なりとも会話する。そして分かったのがビジネスプロジェクトの関係でここに1週間から10日程滞在するらしいということ。
そんな彼らとは別に、次の日に見かけたレバノン人グループ。でもこの彼ら、こういうところで見かける私の言う年頃(?)一般的レバノン人と、身なり格好が違う気が。よくよく聞いてみると、彼らはDabkehのパフォーマンスグループの人たちと言う。次の日から数日間、2、3隣町でのショーがあるそう。驚いた。レバノン伝統の踊りをこのアルジェリアで観る機会があるのだとは(残念ながら私は仕事で観れないけど・・・)。
Dabkehとは、歴史的にはLevant(フランス語で「日の出る方角」、レバント地方とはエーゲ海および地中海東岸の地方、特にシリア、レバノン、イスラエルの地域)の伝統的フォークダンスであり、現在のレバノン、パレスチナ、シリア、ヨルダンのナショナルダンスである(それぞれリズム等少しずつ違うよう、イラクにも有り)。形式は、ラインダンスで、トルコ、アゼルバイジャン、ジョージア、ギリシャ、アルマニア、東欧などでも踊られるコミュニティーダンスと似ていて、用途も、結婚式や他お祝い事の行事でよく踊られる。団結を意味し、ナショナリズムを表現する芸術や文化を積極的に表現するものでもある。そう、そういえばトルコの結婚式でも皆こぞってDabkehのステップと似通ったラインダンスをしてたことを思い出す。
右端の人物をリーダーとし、男性、女性、もしくは共に一列に手をつないで踊られる。そしてそのリーダーはRaas(頭の意味)もしくはLawwih(振る人)と呼ばれ、手を宙にかざし、誇りを持って直立した木の幹を象徴。リズムに合わせ、大地に足をつくその行為は、大地と彼らの関係を強調、Dabkeとは、アラビア語でもともと足を踏み鳴らすという意味であり、ジャンプやキックという動きはDabkeのユニークさを特色づける。同時に、リーダーは片手にハンカチもしくは数珠を持ち絶えず回し続ける。
ちなみに、あまり良いDabkeのビデオは見つけられてませんが、以下、参考までに。
画質があまり良くない(わざとぼかしてる?)のと、実際の音楽が録音されてないのが残念ですが、皆上手です。http://www.youtube.com/watch?v=XGvoiBCeb-A
これはベイルートの海沿いCornicheで。http://www.youtube.com/watch?v=xOskchTjzQQ&feature=related
さて、一通りDabkeの説明が終わったところで、
なるほどアーティストか。どうりで長髪やら髭もじゃやらアーティーな格好をしてると思ったんだ(皆こぞってヒッピーっぽい綿のゆったりパンツにちょっと変わった面白いロゴのTシャツを着ている)。そうと分かっていればDabkehの音楽をかけたのに。ちなみにレバノンで踊った去年は、レバノン人は大好きだから、と、ショーにはなるべくDabkehの音楽を入れるようにしてたもの。プロの迫力のDabkehを観てみたかった・・・。そして一緒に踊りたかった・・・。
翌日、レストランでの踊りを終えて家路(?)を急ぐ(??)私に、プールサイドで話しかける人約2名。
1人はものすごく愛想良く、そしてもう1人はものすごく愛想悪く(まあそこまで悪かないが良くもない)。
そしてこれは後で私が勝手に解釈したのだけれど、愛想の良かったおじさんが、私に話しかけたかったものの、彼はアラビア語しか出来ず、もう1人は否応なしに通訳として無理やり連れてこられたということ。
愛想の悪いおじさんが、一応愛想の良いおじさんの言いたいことを伝えたのだと思えるのだけれど、何のことかも良く分からず結局その場を後にすることに。幸い、愛想の良いおじさんは私に翌日の14時にロビーで会う約束にこじつけたことで嬉しそう。私はというと、とりあえず部屋に戻れるので嬉しそう。
翌日14時、待ち合わせ通りの時間にロビーにいた愛想の良いおじさん、どこからともなく今度は別の「通訳」を探してやってきた。そう、この愛想の良いおじさん、もちろんレバノン人なのだけど、どうやら私に未来があると思ってくれたよう。レバノンで踊らないか?と。とりあえず私はレバノンのエージェンシーに所属していることを伝える。そしてそれがレバノン、湾岸諸国で業界最大手のものだと。エージェントの名前を言うと、彼も、その通訳の人もエージェントを知っている。もちろん、私のエージェントとの摩擦なんか起こしたくないから、エージェントに話をしてもらって最善の方法を取ろう、と言ってくれたのだが・・・。
さて、こっからがとってもレバニーズ。愛想の良いおじさんは、とりあえず私の写真が欲しいと言う。そこで出てきたのがこの通訳レバノン人。彼らもあと数日しか滞在しないが故、とりあえず連絡先をということで、私は何も考えずに彼に部屋番号を渡す。だって愛想の良いおじさんと連絡を取ろうとしたって意思疎通どころではないのだから。
部屋に戻るなり鳴る電話。
しまった。レバノン人だってこと、忘れてた。受話器を取ってみるとやはりさっきの通訳人、トニーである。
僕の部屋にコーヒーでも飲みに来ないかい?って遠慮しとくよ。
じゃあ君の部屋でコーヒーでも飲めないかい?ってナイストライ。だめだめ。
これだからレバノン人は(私自身は案外面白がってるけど)。基本的にレバノン人男性、獲物を見つけるとすぐ狩りに出る・・・。
この典型的レバノン人男性は放っておいて、愛想の良かったおじさん、後日また別の通訳を連れて、仕事帰りの私を捕まえる。すごい信念だ。よっぽど私のことを気に入ったに違いない、と思ってしまう。ちなみに今回の通訳はとても優秀で(外国生まれのアルジェリア人サッカー選手、中田を知ってた!)、今までの謎が全て一気に解けた。
まず、この愛想の良いおじさん、Caracalla(http://www.caracalladance.com/home.html)というレバノンの有名なダンスシアターグループ(日本にも公演で来たことがあるらしい。出来ることならこのグループ、私も所属してみたかったとてもエキサイティングなダンスシアターグループに思えます)の一員で、30年間籍を置いた後、近々現役を引退、これを機に、エージェント業を開始しようとしているらしいこと。そしてその第一号アーティストが私だということ(彼の頭の中でね)。
最初に通訳として無理やり連れられてたっぽい無愛想おじさんは、Caracallaのオーナーの1人。2人目の通訳トニーは、このダンスグループとは関係ないらしいけれど、同行していた人の1人。
要するに愛想良いおじさん、私の写真の要求と、是非返答が欲しいとの事を翌日アルジェリアを去る前に再度プッシュしておきたかったよう。レバノンの連絡先を残して。(こちらは後日「お返事」と題したエントリーでこの後何が起きたかを説明するつもり)
こちらはレバノン人女性歌手Carole Samahaとの共演で空を飛んだビデオクリップで、話題を呼んだ(私の中でね)レバノン人男性歌手Marwan Khoury。これ↓
http://www.youtube.com/watch?v=OQX1VqajRRc
実はそのビッグな彼も同時期このシェラトンホテルに!実は事前にいる、ってことは独自の情報網から仕入れてはいたものの、まさか帽子をかぶってレストランの一角である暗いKhaima(アラビア語でテントという意味)に居たとは・・・。うかつだった・・・。サインもらえたのに、写真取れたのに・・・と、悔やんでみる。
最近、上でも話したDabkeh用の音楽、El Tanoura(アラビア語でスカートという意味)という曲で一躍有名になったFares Karam。
Dabkeh音楽の王様はAsi Helaniなのですがhttp://www.youtube.com/watch?v=6iflLeDa2_k、Fares Karemももちろん有名。
また別の日に踊っている最中、大勢の人が囲むテーブルにいたのは頑丈そうな人見知りのお姉さん。その彼女、何故か私に目配せをする。が、意味が分からずそのまま踊り終える私。踊り終えた私に聞くそのお姉さん、今からかけるCDで踊ってもらえない?と。確かにテーブルの上に何か同じようなCDがいくつも置いてあった。同じ写真も何枚もあった。そしてテーブルに付いている1人が、その写真の人ではあった。その人が歌手だよ、とも言われた。でもね、それがFares Karamだとは思いも寄らず、かかり始めた音楽も、Dabkehだなと思い、El Tannouraだな、とも思い、同じテーブルでノリの良いおじさんと2人でDabkeを踊り、同じ曲をカバーしてる歌手の人なのかな、と思い、去っていった私。
何がきっかけでそれがFares Karam本人だと分かったのかは覚えてませんが、カメラを持ち歩いているわけではない私、その辺にいた優しそうなお兄さんを捕まえて、カメラ借りて写真を撮ってメールで送ってもらってもいいという約束にこじつけ、急いでFares Karamの居るテーブルに戻ったその証がここに。
レバニーズ・オン・パレード。
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