海外駐在員としてホテルで働いている一人のヨシュ(仮名)は、私の良き友達でもある。
ユーモアセンスたっぷりの彼は、クウェート、カタール、ドバイなど、中近東でもう何年も働いているexpat。
先日、そのヨシュを見かけたのでニコニコ顔で話しかけた。
もう仕事終わったの?
この質問がいけなかった。時、既に午後7時。
もう終わったの?
そういう意味で使った「もう」ではないのだけれど、ちょっとだけムッとした表情を見せた彼。その日は機嫌が悪かったのでしょう、そう問いかけた私にこう返答する。
朝7時から夜7時までだ。十分だろう?
と。
そしてこう付け足しながら。
君みたいに一日2時間で済むわけじゃないんだから。
そう言った彼も悪いと思ったのか、その場を取り繕うようにはしてくれたのだけれど・・・。
確かに私の仕事は一日のうちほんの数時間。そんなに高額ではないけれど、それなのにそれなりのお金をもらっていて、遠慮深い私は長時間労働している人や現地の人に対してちょっと申し訳なく思ったりもする。
好きで選んだ職業ではある。趣味が高じて仕事になり、仕事が私の糧となる。なくてはならないこの糧が、私の人生そのものとなる。
でもね、知っておいてもらいたいのは、表には出さないけれど、これはこれでとてつもないプレッシャーでもあるんだよ。良いフィードバックも受けるけど、受ける批評は全て自分自身で消化しなければいけないの。パフォーマンスは始まりから終わりまで一日数時間の世界がゆえに、それに要する準備の全てにおいても、注ぎ込まれるエネルギーも、日中の人とのやり取りも、全てその日のパフォーマンスに関係してしまう要素を持っているからこそ気も遣う。もちろん全てを切り離して機械のように個々に扱えればそれは最適だと考える。努力はすれど人間だからそれは無理な話。私の仕事は踊るだけではいけないし、それ以上のものも要求され残すべきもの。
フリーの時間が多いのは事実だけれど、一日のうち本当に一息つけるのは仕事が終わってからその夜寝るまでの間。
だから夜寝るのが遅くなる。
文句を言っているわけではないし、情熱を糧に出来ている自分の境遇に、むしろ計り知れない感謝はしている。
でも、ちょっとだけ愚痴をこぼしてみたかったそんな日。
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