本日1セット目のショー時、まだ控え室にいた私。
今日は久しぶりにスタッフの一人がCDを取りに来てくれた。
そしてそのスタッフ、大袈裟なジェスチャーを交えて私に言う、
「ビッゼーフ シノワ」(中国人一杯)
「ドゥ ジャポネー」(別のテーブルに日本人2人もいる)
なぜかこのスタッフ、いつも事あるごとにシノワだのジャポネーズだのがいると教えてくれる。そんなにめずらしいんかい、アジア人が。でも彼、最近は日本人と中国人の違いが分かってきたらしく、日本人の私としてはちょっと彼を感心している。
さてここアルジェリア、何万人ともいう単位で中国人がいるらしい(はっきりした数は聞いたけれど忘れたのです。しかもはっきりした数だってちゃんと届出している人たちの総計であって、滞在を届出していない人を入れればもっとだろうとの事)。
いたるところで見かける中国人に対し、地元アルジェリアンには日本人も見分けがつかないとある。街を歩くと決まって「シノワ、シノワ」とか、「ニーハオ」と言われる。うっとおしいんだけどしょうがない。
話は戻り、私の踊り仕事の本番前控え室は、レストランからトイレに行くちょっとした踊り場を共有したある一角にある。テーブルが並んでいるレストランと、その踊り場とはドアで仕切られていて、そしてそれぞれトイレも控え室もまた別々のドアがある。
音楽が流れ、レストランへ入るドアを開け、さてこれから登場、というところ、トイレからの帰りなのだろう、どう見ても酔っていると思われる中国人のおじさん、いや、もっと若かったな・・・が何やら私に話しかける。でも音楽はもう登場のチューン。「後でね」、と言い残してドアの向こう側に登場しようとする私のその行動を遮って、そのにいさん、私の二の腕を掴む。やっぱり本当に酔ってるな、と確信した私は彼の手を払い除けてレストラン側に入っていく。私の後を追い、にいさん一緒に踊らんとするばかり。でも私の速さについていけなく半ば諦めた模様。
前方のテーブル、見るとそこには20人を超える中国人の団体が。
このことか、とさっきのスタッフが言った「ビッゼーフ シノワ」の一言を思い出す。
諦めたそのにいさん、大人しく皆のいるテーブルに付いて椅子に座っているけれど、私の本能は私に危険信号を送る。
彼の近くは通るべからず。
エントランスの踊り一曲を終えて次の曲で踊り始めた途端、そのにいさん、何を思ったか立ち上がって私に近寄る。私、何の気なしに後ずさり。彼らのテーブルのちょうどセンター辺りに座っている一人を指差し、「He is my leader」という泥酔にいさん。だから何なんだ、と思うが言葉を飲み込みそれなら、と、そのリーダーのためにちょっと踊る。かと思うとその泥酔にいさん、何かにつけて私の腕を掴んでくる。
どうにも不愉快に思った私は、両人差し指で「×」を作り、どう考えても迷惑そうな顔を見せ、この辺で既に一度「席に戻って」と怒ってみる。
一度は席に戻ったものの、2曲目が終わると泥酔にいさん、私の踊りはもう終わったものかと思い込み、遠くからまた私に近づいてくる。3曲目の音楽が流れ始めているのに踊ろうとする私を遮り、また腕。その上腰に手を回そうとする。しょうがないから押しのける。それでも話しかけてくるそのにいさんに、一言。
まだ踊ってるんですけど!
レストラン中に響きわたる声。お客さんの皆、状況はもう把握しているためか、一瞬冷たい空気が流れる。それでもしつこい泥酔にいさんの接近にもう踊りどころではなくなったベリーダンサー。でもでも態度に見せることはなかれ・・・
一通りテーブルを回り終わって、一言スタッフに声を掛けるため立ち止まるとまたその泥酔にいさん登場。さっきと同じことをする。もういい加減頭に来ている私はその場を後にそそくさと控え室に戻る。のだが・・・
急いで控え室に戻る私。上手く引き離したかと思った矢先、人が追ってくる気配を察知、身の危険を感じ、後に閉めたドアのノブをきつく持ち、力づくで自分側へ引っ張る。そう、ドアを開けて入って来られないように。そうしたら思ったとおり、酔ったおじさん、一生懸命ドアの向こうからドアを開けようと力を入れる。あまり動じることはない私だけれど、このときばかりはちょっと怖かった。
幸い、私を追っていく泥酔にいさんの姿を見たであろうスタッフ2人がやってきて助けてくれたから良かったものの、下手したら私は何時間も控え室にこもることになった可能性、結構大。
一緒に来ていた中国人の誰もその行為を止めなかったのは非常に残念。皆酔っていたのかもしれないけれど・・・。
今回は、今までないぐらいの危機感を感じましたとも。色んなシチュエーションの場数は踏んではいるけれど、今日はほんと、ちょっと参った。
PS.翌日、また中国人の団体グループが来るということをマネージャーから聞いた私。同じ人たちなの?という問いかけに、違うグループだと教えてくれるマネージャー。今日の一連のことをボスに伝えておこうか?と聞いてくれはしたけれど、話しても解決されることでもないのでいいよ、とする返事。
(以下、翌日書いてます)
PPS.前日の出来事があったからが故だろう、今度の中国人グループ、レストランの一番遠方にテーブルがありましたとも。マネージャー、それからスタッフ、心遣いをありがとう。最後にチラッと踊り回った団体テーブルを見回して気付くこと。おい、昨日の泥酔野郎、いるじゃないか。
6 件のコメント:
こんにちは。ドバイに住んでいます。ベリーダンスを検索してたら、ASYAさんのブログにたどり着きました。
自分の好きなことに打ち込んでるのは素敵ですね。でも、お客さんにはいろんな人がいるから、怖い思いをすることもあるんですね。
ベリーダンス、見てみたいですけど、チャンスがなかなか…。これからもダンス頑張ってください。
酒に飲まれている人を相手にするのはどうにも大変ですね。避けたいものです、酒だけに、なんて。いつも応援してます!行儀の良い客として、また観にいきますね。(M)
始めまして。
コメントありがとうございます!
好きなことを仕事としてやっていけるのは、とても幸せです。おかげでおかしな経験をたくさんしますが、これもこの仕事の醍醐味の1つだと思っています(笑)。
ドバイは、高級ホテルに入っているようなレバニーズレストラン等ではショーがありますよ。是非見に行かれてみてください。
応援もありがとうございます。
これを励みにこれからも精進してまいります☆
ASYA
(M)さん
もしいらっしゃる時には、お酒は程ほどにお願いします(笑)。あれ、今駄洒落かなんか言ってましたか?
ASYA
その客のモラルのなさはホント頭に来るね。
でも、かつてジャパンマネーが強かった時代には、
我々の親の世代が海外で恥を掻き捨ててたんだよ、きっと。
それを考えると、我が事のように心苦しい。
いろいろ辛い事があるだろうけど、
がんばって。
DAIさん
コメントありがとうございます。
DAIさんがおっしゃる恥の掻き捨ては、実際色んなところであるのでしょうね。
そういえば、以前ホテルの「オリエンタルダンサーはMARIKO」という宣伝で知って、観にきてくださった日本人の方が、日本を世界に広めてくださいね!とおっしゃってました。日本代表(いつからじゃ?)、良い印象を残して行きたいと思います。どこに行こうとも。温かい応援、ありがとうございます。
ASYA
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