そして前方右手にあるDJブースからここぞとばかりに歌いだすおばさんDJ。が、流している曲って既に歌入ってんじゃん・・・。歌う意味が分からない・・・。
もうお気づきかもしれませんが、この結婚式は、そう。女性だけが出入りできるのです。
とまあ全体像が掴めたところで近づいてくるZaghareetの音。すると踊っていた出席者がまたそろりそろりと各自自分の席に戻り始める。これは花嫁が部屋に入ってくるという合図なのです。取り巻き(?)数人に付き添われ、会場をぐるっと一回り、まずはピンクのドレスに帽子をかぶせた出で立ちで花嫁の登場(ちなみに新郎はまだです)。歩く先にはそれぞれビデオカメラを抱えた女性が二人。後ろ歩きをしながら今日の主役をばっちり撮影中。
皆の祝福を受け、一周し終わった花嫁がDJブース横の椅子に着席すると、先ほどのカメラパーソン、花嫁に座り方の指示を出しながら、彼女の足元から撮影を始める。そう、ここで私が見た結婚式のビデオ、会場に入ったシーンでは、実はどれも何故か花嫁の足先から映し出されるのです・・・。
この後花嫁は何度となくお色直しを繰り返し、会場を出たり入ったりするのですが、結果から先に言うと、なんとお色直しの数、8回。日本で結婚式に出席したことがない私は、一般的な結婚式で大体何回お色直しをするのか分からないけれど、まあ着る方楽しく、見るほう楽しくやるのが趣旨なのでしょう。一生に一度のものだから(と、皆思うもの)。そして忘れてはならないのが出席客にもお色直しをする人がいるということ。もちろん皆ではないけれど、お洒落に気を使っているのか、お金があるのか、もしくはただ単に見せびらかしたいのか・・・。とはいえ日本でこんな人いないでしょう。おいおい、主役はあくまで花嫁です、花嫁。今回もいました何人か(ビデオでも)。
こっちでの結婚式に付きものなのが、アルジェリアの手作りお菓子を提供すること。会場で働く人たちがトレーにこれでもかと言うほど甘いスイーツをいっぱい載せてそれぞれのテーブルを回ってくる。今回は引き出物たるハート型の赤のお皿が前もって配られていたので、それにそれぞれ回ってくるお菓子を溜め込むことに。砂糖いっぱいのこのおやつ、新婚さんの甘い生活にあやかろうと言うものなのかと思いたいが、こっちのスイーツは全部過剰に甘い・・・。
そんな時会場に入ってきた女性何人かと、何人かの男性陣。ここは男子禁制!と思っていた矢先の出来事。意味が分からなくその一部始終を眺めていて分かったことは、彼らは花嫁の家族だと言うこと。そして一幕一緒に踊ったり写真を撮ったりした後に出て行きました。
それにしてもこっちの結婚式、皆好き放題している印象を受けますが、これって国民性?
さて、お色直しも中盤に差し掛かった頃、さっきから花嫁並みに出たり入ったりしているメリナ(今回の花嫁の友達で私を結婚式に連れてきてくれた子)が私に話しかける。衣装を持って一緒に降りましょう、と。連れられた先は花嫁とその女性の家族が着替える更衣室。いいのかな?っていうかメリナ、私が踊ることは了承を取ってあるんでしょうね。一応了承は取ってあるらしく快く?向かい入れられましたがそのステージ裏は戦場と化していた・・・。
花嫁の次の登場後に踊ることを何となく察し(ここではほぼ全てを察しながら生きています)、会場のドアの外で待機。今日のために用意した聞こえてくる音楽を意識しながら全体の流れをイメージする。センタースペースでエントランスのベールワークを終えたらテーブルを踊り練り歩こう。・・・と思っていた私のプランは次の瞬間ことごとく壊される。開け放ったドアからベールを翻し登場した私を見た瞬間会場にいた全ての女性が歓声とともにセンタースペースを取り囲むように押し寄ってきたから。
床がつるっつるで滑りそうになるヒールをコントロールしながらスペースいっぱいに踊る。もちろん花嫁に対して誠意を持って。めでたい席で場を盛り上げるのはベリーダンサーの宿命だから。そんな中こっちに行って踊ったらこっちの人だかりがキャーキャー、あっち側に行って踊ったらあっちの人だかりがキャーキャー。私の踊りを観て鳥肌が立ったと言ってくれる人はたまにいるけれど、踊りながら自分で鳥肌が立ったのは、初めての経験。一瞬寒くなって(ただ単に風邪?)、自分、踊りきれるかな、なんて心配したけれどもちろんそれも一瞬の出来事。その時を肌で感じながら自分の仕事と境遇、出会いに改めて感謝。
ただ1つ文句を言えと言われたら(誰も言わない?)、DJがところどころ何かをしゃべりたいらしくその中途半端な間音楽を消すところ。それが何回も。DJちゃんとDJらしく仕事しろ!全く。
さてこの踊りの後その場は写真撮影の場と化してしまい、結局着替えるために会場を出られたのは30分後。
同じように会場を一周、皆に自分の姿を認識させ着席。そして踊りだす女性たち。
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