2008年6月30日月曜日

ジューン・ブライド(上)

アルジェリアにそんな言葉が存在するのかどうかは知らないけれど、June Brideとはよく言ったもの。6月の先日、はじめてアルジェリアの結婚式に行ってきた。

この人、今回主役のジューン・ブライド。

さてこのアルジェリア式結婚式、はじめてのはずなのに、何故か勝手を知っている私。と言うのもここに来て以来、もう既に3度ほど人の結婚式のビデオを延々と見せられたから。2度は招待してもらったそれぞれの友人宅で。もう1度は何故かホテルの売店で・・・。

仲の良くなった友達の一人に、たまに外に連れて行ってくれるホテルのマディナがいる。
3度見たビデオのうちの1度はマディナの妹メリナの結婚式のもの。
マディナと彼女のお母さんに、前回カスバに連れて行ってもらったのだが、今回は妹メリナの友達の結婚式らしい。

随分前から6月16日の月曜日は結婚式に連れて行ってあげるから覚えておいてね、その日の朝、電話するからね、と日本人の私が約束をすっぽかすと思うのか(アルジェリア人には何度となく約束をすっぽかされているのでちょっといやみ。ちなみにレバノン人も平気で約束をすっぽかします。これはアラブ圏の風習なのか??)?と言いたくなるほど散々言ってくるマディナ。分かったから。

そして前夜、電話が鳴る。
明日朝10時に電話するからね、と。

おい、それだけ言いたくて電話したんか?と何故か彼女の真剣さに思わず笑ってしまう。

続けて、焦ったように言うマディナ。ちょっと待って、メリナと代わるから、と。
電話を代わったマディナの妹メリナは興奮気味に高ぶった声でこう言う。
「青い衣装持ってきて!青い衣装!」
どうやら以前見せたCheb Khaledと写っている写真の中の私の青い衣装のことを言っているらしい。

ん?

踊るの?

よく分からないけどとりあえず了解しておく。じゃあ明日、と言って電話を切るが。

・・・翌日、10時はゆうに回っているのに、鳴らない電話。

昨日の電話は一体なんだったのだろう。こうなるともうとことんアルジェリア人が分からなくなる。
待っても待っても電話は鳴ることなく、せっかく10時に連絡が来てもすぐ出られるように用意をしていたにも関わらず結局こっちから連絡することに。
時、既に13時50分。

というより3時間以上後に連絡する私もどうかと思いますが、これは私がめでたく(?)郷に入った証。

こういう場合、アルジェリア人はとてもばつの悪い様子で私に対応する。
そして打診をするがごとく、別のことをとっさに口走る。
あと10分で行くから。

それより先に言うことがあるでしょう?
10時に電話することは向こうが言い出したこと。それなのに電話しなかった。普通は、謝る。

10時に電話することは向こうが言い出したこと。それなのに電話しなかった。でも、ここ、アルジェリア。「アルジェリア」と書いて「普通じゃない」と読む。だから、謝らない。

普通は怒るけど、「アルジェリア」にいる私は「普通じゃない」私、だから、怒らない。もうこういうの、想定内。怒るだけ損。

20分後お母さま運転するルノーがお迎えに、ひとまずマディナの家にて準備の様子を拝見。
さて、ここはイスラム教徒の国と言えど、結婚式となると、もうそれはみなのおめかしの恰好の場。普段外には着ていかないであろう肩の露出したドレス、膝が見えるスカートにばっちりマスカラのお化粧を施した装い。お母さんが外出する際は、常にアバヤを羽織ってはいるものの、妹も既婚者だから同じように上にアバヤでも羽織るのかしらと思いきや、車に乗り込むのだからそのままの格好。その格好、結構ここではNGな服装なのでは?と要らぬ心配をしてみる。(でもカーディガンは羽織ってました)

結局結婚式自体が何時からかという質問に対し、開始時間はどうやら3時らしく、さて出発。
さて目的地のこの会場、ある結婚宴会場を貸しきってあるよう。車を停めると、係りのおじさんが車を誘導している。派手なショッキングピンクの柄物ネクタイ。この駐車場のおじさん、ちょっと変わった装いだ、と思っていたら後で分かったこと、彼、新婦の父親でした。新婦の父親は駐車場もしきらないかんのかい?そりゃあ大変だ・・・。

少し暗い階段を2階に上がって、曲がってしまっている取っ手のドアを開けるとそこには女性たちが大勢。いくつも用意されているテーブルに友達同士、知り合い同士で座っているよう。女性の話好きは万国共通、思い思いの会話の話し声が重なってうるさいくらい。

入ると人、人、人!

入ってすぐ右側のテーブルにはお祝いのプレゼントが山済みになっている。そしてその横に待機している花嫁の母親。どうやらやってくる人たちに挨拶をしているよう。もちろん私を知っているわけではないけれど、頬っぺたを交互に一度ずつ合わせて挨拶のキスをする。親しい人にはそれを往復2回で計4回のキス。

アルジェリアに来て思ったことのひとつ(特に家族の多い友人の実家に行ったりした時最も実感)は、どこに行っても挨拶に掛ける時間が長いこと。私が踊るレストランでも、みんなと仲が良くなった私は、一人一人と恒例のアルジェリアン挨拶を交わす。これが過ぎるとたまに能率の悪さを感じるのだけれど、人と交流する上で、挨拶はやっぱり外せない。どこに行ってもその土地柄の挨拶は、その人たちの文化を理解したり尊重する上で、基本中の基本、もちろんマストだから。日本でも互いに何度も会釈して挨拶するのと同じかも、と思ったりもする。

挨拶の終わった私たち4人はダンススペースになるであろう、だだっ広く空けてあるセンターを中心に反対側の未開拓地に着席。

そして消えるメリナ。彼女の友達の結婚式とあって彼女の知り合いは多いよう。は来る人来る人に挨拶してる。結局は花嫁の母親の隣で一緒になって挨拶してる。あなたは一体何者?

本番の式の内容はジューン・ブライド(下)に続く。

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