2008年5月14日水曜日

逆境

「逆境」

とは、逆手に取るものである。

・・・と、私の辞書にはある。

というのも私、ベリーダンサーとして、それはそれは色々に悔しい思いをしてきているのです。 具体的な話は伏せますがね(笑)。

私。

日本国生まれ。

黄色人種。

黒髪。

茶色い目。

東南アジアからハワイまで、どこに行っても現地人だと間違えられることが多いので、どちらかというとそっち系(どっち?)の顔立ちをしているのかも知れないけれど、れっきとしたなんちゃって日本人なのです。

さて、まずこっちの人(中東、湾岸諸国の人)からしてみると、日本人でベリーダンサーなんてあり得ない。

そう、そこが問題。

日本では近年とても人気のあるベリーダンス。まだまだベリーダンスコミュニティーは小さいかもしれないけれど、とても面白味のある世界。昨年からはベリーダンスの雑誌まで出版され始めているほどなのだけど、そんなこと、こっちの人にとっては知ったこっちゃない・・・。

そして極めつけは、オリエンタル(ベリーダンス)はアラブ人にしか踊れない、と思っている人多し。ですので、アラブ人じゃないほかの人種がオリエンタルを上手に踊ると、彼らはとても驚く。

そして極めつけの極めつけは、ではそのオリエンタルを踊れるアラブ以外人(造語)がきわめてアラブ人に似通った人であると、とてつもなく好まれるということ。もしくはそうならずとも欧米人の血筋だと喜ばれるように私には思えて仕方がない。

中東、湾岸諸国を牛耳るベリーダンサー大手のエージェンシーに所属したはいいものの、実は中々仕事に在りつけるのが困難だったりもするのです。それもそのはず、こちらの人々はアジア人が踊るベリーダンスなんて興味がなかったりするのだから。いや、アジア人に興味がない?どう頑張ってもアラブ人には見せかけられないアジア人ってだけで既にものすごいハンディ。

だからどれだけアラブ音楽に理解があっても、踊れても、一緒に口ずさんで歌っても中々それを受け入れてくれるところがなかったりもするもの。たとえ送ったPVを見たホテルのマネージャーが踊りは気に入ってくれても客に受けるかどうか分からないアジア人を雇うよりも(レバノン人じゃないところが変な話ですが)既に間違いがないであろうブラジル人を雇う方が魅力的だったりするのです。

今でこそ多数のブラジル人ダンサーが私のエージェントから派遣されて湾岸諸国で活躍してはいるけれど、彼女たちが自分たちの名声を築くまでにどれほどの時間がかかったことか(聞いてないので分かりませんが)。もちろんそれは彼女たちの実力が伴っているからだと確信してはいますが。確かにブラジル人、見とれてしまうすごいダンサーは山といる!

例えば、ロシアにも、それはそれは上手なベリーダンサーがたくさんいるのをご存知ですか?ある人曰く「それは他にすることがなくて一日12時間練習してるからよ」・・・なんて言ってましたが何時間練習してるかはまた別の話で、上手いことに変わりはない。そんな彼女たちもある意味もっと悲惨な立場にいるかもしれないと、思うこともあるのです。というのはどこに行っても彼女たちは娼婦扱いにされたりしてしまうから。これって私自信の偏見かもしれませんが、そう、こっちの人たちは私たちに輪を掛けて偏見を持っていたりもするのです。(この辺りは、事実多少話しに聞いたことを語っていますが、この辺りのお話に不快感を抱いてしまったら、大変申し訳ないです)

レバノンのエージェンシーに所属した話をした時、とある知人が言いました。「あら、レバノンではダンサーがそんなに不足しているのかしら」って。いやいや、そうじゃない。決してそうではない(と、思いたい)。本場の人をも魅了する選りすぐりの人たちを出身地構わず集めてるんです(・・・とも、思いたい)。だから、それなりにプライドを持って踊り続けるのもいいことだと信じて止まない・・・。

突拍子もないアジア人だからこそ目立とうではないか。その「奇妙さ」を利用して意表をつく。踊れるアジア人を知らしめようではないか(半ばやけになってる?)。

しつこいようですが、「逆境」とは、思う存分遊びこなして逆手に取るものである。いや、そうあるべきものである。・・・違う?きっとそうに違いない(少し苦しく自分を説得)。

その逆境、今回見事に逆手に取った?と思われる(・・・だから、そう思いたい)。というのが当初2月から期間3ヶ月で始めた契約が、1ヶ月延び、そして更に3ヶ月、今年のラマダンまで延びたから。

本日5月14日、要するに今までアルジェ・シェラトンで踊ってきた期間(3ヵ月半)と全く同じ期間、継続してここで踊り続けます。

ちなみに今年のラマダンは9月4日ごろから(曖昧)。契約終了日は9月2日。取り急ぎ?お知らせまで(笑)。

0 件のコメント: