先日(と言ってもずいぶん前)、白いトーブ(ThobeもしくはThawb)に身をまとった、あの赤白チェックのスカーフ(Shumagh)をかぶった2人連れを見かけた。果たして彼らが石油王だかどうかは、未知の世界。
ウェイターが私に小さく合図を送る。こっちにも来て踊れ、と。
それまで快調に踊っていたと思われる自分、この2人を見かけるなり急に緊張してしまい、普段ならミスしないようなビートをはずす。あれ?おかしい。2人を目前にシミーがうまくいかない。あれ?足の付け根がおかしい。あれ、動かない?止まりそう、下手すると倒れる?というぐらいの勢いだ。幸いスローモーションで横に倒れていくことはなかったものの、あの緊張ぶりには我ながら驚き、同時に悔しさが沸き起こった。
何が起きたか?何故か私に植え付けられてしまった「こういう人たちがアジア人にオリエンタルを踊れるわけがない、というイメージが付きまとってしまっている」、という概念(私も先入観を持ちすぎかもと、後々反省)から、それを覆そうとアジア人代表、ここはいいところを魅せなければ、と自分にかなりのプレッシャーを与えてしまったよう。いつもそうだが、とにかく色んなことを一人で背負い込む癖があるらしい。
ある日日本の少子化が問題として取り上げられている番組でも見たのだろう。分かった、じゃあ私5人は産む。と言った私に、いいよそんな少子化を一人で背負い込まなくても、とあっさり身内。とりあえず相手探そうよ、って。ごもっともです。
しかもその日のその1セット目に使用したプログラムの曲集はいまいち盛り上がりに欠けてしまったのかな、と思い始め、ここはサービス、急遽用意していた2セット目を変更。カリージがいるのだから、ここはカリージの曲が入ったプログラムを持ってきた。
カリージ/ハリージ(正確にはカとハの間の発音)とはKhaleejiもしくはKhalijiと表する。その他khaleijiと書いたりもするようだが、この辺り、アラビア語が英語表記されるとあいまいに取り扱われるのであまり当てにしないこと。湾岸の意味を持ち、主に湾岸の人、音楽、文化や方言、ペルシャ湾岸に関係したもの一般を全般的にカリージと呼ぶ。
こちらでは、カリージの踊りを心得ておくのはマストなこと。特有のリズムに特有の動き、カリージの曲が掛かるとカリージは大盛り上がり、一緒に踊りだすなんてことはしょっちゅうです。
それを見越して先ほどの失態は挽回すべく、カリージ入りのプログラムを用意して再登場したはものの拍子抜け。さっきの2人組み、もういないんだもの。あーあ、私のせいかなと思ってもしょうがない。ノリのいいカリージの曲を聴いたら自分でも楽しくなり生き生きと踊ることが出来たよう。もちろん観ている人を楽しませるのはエンターテイナーとしてしなければいけないことではありますが、やっぱり自分自身が楽しんで踊ることは大切だと改めて思い直したそんな日。
ちなみに、カリージ音楽で人気のある歌手はHussein Al Jasmi(こちらもまたスペルがあいまいでHussainという場合も)。Al Sharkiという曲は私も皆も大好きです。ただ、カリージ音楽、つまらないものは本当につまらない時もあります。
Hussein Al Jasmi
そうそう、それから、どうせなら石油王じゃなくて、シェイクの方がいいかも。アイワッ!
0 件のコメント:
コメントを投稿