ライード=L'aid
正式名称はEid ul Adha。
犠牲祭と訳されるイスラム教の祝日が、今年のアルジェリアでは12月8日と9日に定められた。
さて、でも何故宗教的な大事な祝日が、今年はいついつに・・・という風に定められなければいけないのか。最近は日本の祝日も便宜を図るため、1月の第2月曜日などという風に設定される場合もあるけれど(だとしてもいつが休みになるかは前もって分かるし今後だって分かるよね)、主要な祝日はやはり2月11日は建国記念の日、のように月日が設定されているもの。
というのもイスラム教社会は、ヒジュラ暦と呼ばれる太陰暦(純粋太陰暦)を使用しているため、1ヶ月が29日間の小の月と、1ヶ月が30日の大の月を交互に繰り返した方法で1年を数え、地球が太陽を回る周期との修正を行なわない結果(閏月による地球が太陽を回る周期、すなわち季節との補正を行わない)、1年間が354日となり、1年ごとに11日ほど太陰暦とずれていくから。
(Wikipedia参照)
イスラム教の国は世界中たくさんあるけれど、この宗教的行事では、どこの国でも何らかの動物を犠牲にし、預言者ムハンマド(モハメド)と共に五大預言者のうちの1人のアブラハム(イブラハム)が進んで息子のイシュマエルをアッラー(イスラム教の神)に犠牲として捧げたことを世界的に記念する。
例えばパキスタンではこの犠牲の対象となるのは山羊。
アルジェリアではこの対象は羊となる。
さてここアルジェリア、日頃から道端を羊飼いと羊の群れが普通に歩いているし、外出の際、車窓からちょっとした草原をチラッと見やると羊が懸命に草をほおばっていたりもする。
そしてライード到来数日前、外出した折に気付いたこと数点。日頃はまばらに見る羊たちと羊飼い、この日ばかりは主要道路沿いに皆(羊もか?)でたむろってる。要するに、人々が一家に一頭、羊を買って帰っていく。ある人は、羊の首にロープをかけて歩いて帰る人、またある人はセダン車に乗せて帰る人。
そう、連れて帰られる羊は、ライードの初日まで各家庭で育てられ、ライード当日、喉を切られてとさつされる(やっぱり内心かわいそう、と思ってしまう・・・)。そう、アッラーに捧げる生贄になるために。自然の恵みや動物のおかげで成り立っている人々の食生活(ベジタリアンはちょっと違うかもしれないけれど)、偽善者ぶるつもりはないけれど、この行事に招待されなかったことに、我胸撫で下ろす。ライードのこの一番の行事、これにまつわる話は山とある。
例えば、とさつを実行するのは通常家族の父親と長男だったりするのだけれど、場合によってはその仕事をする人を雇ったりもする。そしてその行為を実行する人たちは、やむを得ぬ事情がある場合意外(職業がレストランのシェフだったり)、皆、爪、ひげ、髪の毛を最低事前10日間は切ってはいけないという。貧しい人にも食べ物を分け与えてあげるというイスラムの教えから、その羊から得られるご馳走である肉の3分の1は家族で頂き、残りの3分の2は、彼らに近い貧しい人から優先的に分け与えてあげる。自分が食する分よりも多くを、恵まれない他人に分け与える。
そしてこの羊、一頭、大きさによって25,000ディナールから35,000ディナール(大体35,000円~60,000円前後)で売買されるそうで、これはローカルの平均的収入の1ヶ月分から2ヶ月。かなり贅沢なもの。ちなみにフランス語のおじさん先生は、「羊は高いから買えないよ~」なんて言ってたなと思い出す。となると彼はお肉をもらう側なのだろう、と。
この他にも内臓は当日、でもお肉自体を食するのは血抜きをした翌日、要するにライード2日目、とさつを行なう時間帯など、事細かに決め事があるよう。
どっちかというと、このライード、どこのスーパーでも正月三が日はお店を閉めていた一昔前の日本のお正月みたいなものにさえ感じる。国を挙げてのお祝い(?)事、当日お店は例外なく、ほぼ全てが閉まっていて、外には人っ子一人見当たらない。今年は家で餅つきするの?いや、手間隙かかるからやらないよ~、なんて餅つきと羊の生贄の行事とを重ね合わせてみたりもする。
ライードおめでとう、「サッハアイデック」と声を掛け、一足早く、小声で、いや、普通の声の大きさで、明けましておめでとう!と言ってみる。
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